真剣師

現金を賭けて、麻雀や将棋を生業とする勝負師を、真剣師と呼ぶ。

そんな世界を舞台にした、将棋の映画を観た。

麻雀より、将棋の世界の方が、刹那的で悲惨な気がする。

1対1で、負けの悔しさは、耐えられない。

何故か、そういう主人公は、酒に溺れ、自らを転落させて行く。

生活破綻者だが、悲壮感溢れる勝負師は、観るものを魅了する。

まともな勝負ではない。

ゲームではないのだ。

博打なのだ。

破滅するまで、止めることが出来ない。

これは、ゲーム依存症だな。

そんな将棋真剣師の世界の映画が完成した。

その、完成披露試写会に行って来た。

監督や役者の挨拶があり、映画を観る。

ファンだけが集まって、映画の世界に没頭する。

「国宝」に続き、渡辺謙は、また、美味しい役を演じている。

歳を取る程に良い役者になって来た。

肩に力が入る演技が、円熟して来たように見える。

実物を見る事ができたが、スクリーンの上では、本物よりも、ずっと大柄に見える。

名優は、スクリーンでは、迫力があり、大きく見えるが、実際は、小柄な人が多い。

歌舞伎役者もそうだ。

小柄な人で、目鼻の際立った大きな顔の役者が、舞台映えがする。

鬼気迫る表情をアップで見せるのが、映画の魅力でもある。

私が、舞台より、映画の方を好むのも、そのせいもあると思う。

スポーツ観戦もそうなのだろうが、本当のファンだけが集まった映画館は、魂を熱くさせる。

「盤上の向日葵」は、暇つぶしの映画にはならない。

将棋の勝負は、熱くなる。

もう一回、もうひと勝負と止められない。

破滅するまで、止められない世界は、怖い。

でもまた、魅惑的だ。

そうなれない自分は、健全なのか、ひ弱なのか。

何故か、情けない。

医療福祉の経営者は、勝負師になってはいけない。

堅実で退屈な日常だからこそ、非現実的な映画の世界に魅了されるのだ。

血糖217   からす麦クッキーと塩煎餅とシフォンケーキ。 盤上の向日葵も、ハードボイルドなのだ。

代表 湖山泰成

銀座湖山日記

Posted by Meguro