医療介護を育む建物

教会から生まれた病院の建築設計は、長い歴史と世界的な発展の中で、ある程度完成したのではないか。
一方、介護は、マンションとホテルの融合する形で意匠ばかり工夫を凝らしてきたが、実用設計はあまり注目されてこなかったように思う。
老人ホームの設計の歴史には、分譲マンションと、女子大学生寮との2つの系譜がある。
健常者用の老人ホームはホテル・マンションのセンスで良いのだろう。
でも、認知症、寝たきりまでの対応をする介護施設は、より病院機能に近い設計が求められる。
介護するスタッフは、今までは、設計に意見をしないでいた。
最初から諦めていたとも言える。
一度建てた施設の間取りや、動線を変えることは、現実的には無理だ。
介護施設には、部屋の広さや、廊下の幅や、必要な部屋が法的に決まっている。
補助金との兼ね合いもある。
そういう意味では、小学校の設計規範に近い。
官制設計である。
では、それで諦めるのか。
生活様式は多様だ。
地域によっても、時代によっても変わって行く。
携帯電話のおかげで、病室に電話を引かなくでも良くなった。
スマートフォンであれば、テレビもいらないかも。
電動車椅子が、館内でも使われるようになれば、廊下や扉の仕様も変わる。
全ての扉が、スライド式自動扉になると便利なのだが。
看護介護スタッフから、設計の不満を聞くことは少ない。
在宅同様、所与の与えられた設定状況に不満を言わない。
自分の能力と、努力で乗り越えるのが当たり前だと教育されている。
でも、疲れる。
時間がかかる。
便利で見通しが効く、人間工学に配慮した良い設計、内装は、スタッフにとっても居心地の良い設計となる。
施設となる。
スタッフも、入居者、患者同様、そこで暮らしている。
生きている。
人生を過ごしている。
医療福祉の人間には、オンオフの切り替えが難しい。
ダメな建物は、スタッフを消耗させる。
良い建物は、未熟なスタッフでも、人間を育む。
能力だけではない。
細やかな優しさと、真心を育むのだ。
そして、湖山の人となる。

能登地震202日  血糖191
湖山G代表 サンダーバード代表 健康の駅理事
実家の設計は、老後を考えていなかった。歳をとると疲れる。  湖山泰成

銀座湖山日記

Posted by kobayashi