様式美
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泰成君は、小学校6年生。
金曜日と土曜日の夜は、3時まで徹夜で本を読む。
自分でコーヒー豆を買って来て、挽いて、ドリップで入れる。
そして、クラシック音楽を聴きながら、机に向かって、本を読む。
推理小説、SF、伝記が多かったように思う。
深夜、孤独で思索するというのに憧れていたのだと思う。
哲学者や、科学者に憧れていたのだ。
シャーロック・ホームズの生活に憧れていたのもあるだろう。
クラシック・バレエ、オペラ。
シェークスピアに歌舞伎。
歌舞伎の影響を受けた、宝塚。
クラシックと呼ばれる、様式の定まった世界が安心できるのだ。
ロックとか、フォークは苦手である。
小説も、私小説は、読まない。
読んでいて、辛く、切なくなるのだ。
青春物語も、同様。
アバンギャルドみたいな建物も、見たくない。
映画は、特にそうだ。
学生作家の実験映画みたいなものは、頭が痛くなる。
ストーリーが、不自然で、難解というより、意味不明なのは、気分が悪くなる。
幾つもの謎や伏線は、最後には、綺麗に整理して、納得させて欲しい。
意味不明なままに、物語を終わらせられるのでは、観ている方はたまらない。
監督の意図が不明な映画は、未完の大作ではない。
単に、監督の力不足ではないかと思う。
若い映画監督の成長の過程と許すには、私は若くなくなった。
観る作品は、完成度の高い映画を選びたい。
作り込んだ、脚本、演出、カメラワーク、そして、演技を求める。
歌舞伎やバレエは、その代表だと思う。
何とか、モダンバレエまでは、理解できる。
それでも、名演奏と言われる、ジャズは、好きだ。
訳のわからない、未熟な独りよがりなアートは、勘弁してほしい。
まずい料理と同じだ。
人生に食する回数は、限られている。
同様に、映画も、美術館巡りも。
後、何作、素晴らしい感動的な映画、舞台を観る事ができるのだろう。
数を数えられるくらいの歳になってしまった。
この日記も同様だ。
一日一日が貴重だ。
その事を気づくのに、69年もかけてしまった。
読書も同様。
乱読はやめて、本を選ぶようになった。
目も衰えたからだ。
日々の関心は、1に睡眠、2に食事。
私は、自意識過剰な赤ん坊に過ぎない。
これが、長年の深夜の思索の結論だ。
さあ、も一度寝ることとしよう。
能登地震151日
血糖207
湖山G代表 サンダーバード代表 湖山 泰成