1級船長の後悔日誌

私は、自動車の免許も持っているが、もう、10年は運転していない。
他に、実は、1級船舶の免許も持っている。
30年も前に取得した。
湖畔のボートで遊ぶなら、4級である。
ヨットやクルーザーのオーナーでも、2級で充分。
1級は、外国まで行ける、プロの免許である。
なんで、そんな免許を取得したかと言えば、毎年、ボートショーを見に行っていたので、ヤマハに軽く誘われて、軽く申し込んでしまったのである。
その後の、講習会は、自衛隊の訓練の如く、厳しい物であったが、若さと高額授業料を申し込んでしまったので、とにかく、最後まで頑張った。
土日の泊まり込み講習で、3ヶ月は掛かったと思う。
船の操舵は、天候や風、潮流の波を読んで先を予測しながら指示をするので、経営を考えるのに、大変参考になった。
囲碁や将棋もそうかもしれないが。
ヨットの操舵も、天候、潮の流れ、ライバルの動きの読み、そして、チームワーク。
経営の要点の全てが詰まっている。
経営学、チームワークの教科書を読むくらいなら、映画「眼下の敵」を観て欲しい。
第二次世界大戦の時の、アメリカ駆逐艦と、ドイツ潜水艦の戦いの映画で、名作である。
懐かしい。クルト・ユルゲンスは名優だと思う。
さて、病院会の理事長先生達には、別荘とか、ヨットかクルーザーをお持ちのお金持ちも多数いらして、時々クルーズに誘われた。
自分では所有できなくとも、免許を持っていれば、操舵をさせてもらえる。
そんな、勝手な甘い期待もあって、こっそり免許を取得した。
もう、そんな事も忘れていたのだが、最近、友人が新しい大型クルーザーを買ったそうで、船旅のお誘いがあった。
当人は、釣りと釣った魚の料理が趣味なのである。
その友人は幸せである。
昨日、釣りは勘弁してもらって、東京近辺のクルーズに乗せてもらった。
3ベットルーム、2トイレシャワールームの豪華クルーザー。
内装も木製特注の外国メーカーの船である。
ブランド時計など買うのは、本当のお金持ちではない。
スポーツカーも大した事はない。
お金持ちだなあと思う人は、料理人付きの別荘や、船長を雇って、豪華大型クルーザーを持っている。
そこに、友達を大勢招待する。
お金持ちになって、別荘やクルーザーを維持するのは大変だが、お金持ちの友達を持つのも、幸せである。
なんせ、気楽。
友人に感謝したい。
東京湾の半日の航海は、速度25ノットで、かなり速い。
同乗の友人は、高速の揺れで気持ちが悪くなったようだが、私は、乗り物酔いには強い。
胃腸と肝臓は強いのだ。
真夏日のクルーズは、日差しが強すぎて、クーラーの効いた船内からデッキに出ることはなかった。
何の為に、船に乗ったのかわからなくなってしまったが、私は、虚弱なインドア都会派なのだと、改めて自覚した。
10年も前に、湖山Gのオーストリア研修でお土産に買った、帽子を持っていったのだが、使う事はなかった。
船の操舵を勧められたが、丁重に辞退した。
私は、30年無事故を誇っている。
という事は、免許取得後、一度も操舵した事がないのである。
誇りあるペーパードライバー、その人である。
私は、所詮オーナーになっても、プレーヤーにはなれない。
でも、船が外国に逃亡する時は、私の免許で行けるよと、教えて差し上げた。
そんな、釣りも、酒もない男ばかり6人のクルーズは無事帰還した。
装備で驚いたのは、GPSと自動操縦で、海の上で同位置を保てるのだ。
手動操縦で、波に流されず、同位置を保つのは、難しい。
テレビ画面に、海図が映し出されていて、航路がわかる。
もう、海図をコンパスで引くなどの作業もいらない。
なんと、操縦桿も舵輪ではなく、レバー。
テレビゲームのコントローラーに近い。
これでは、おも舵一杯、取り舵一杯などは死語になってしまう。
その内、自動操縦の電気自動車みたいになってしまうのかもしれない。
嵐に向かう、歴戦の艦長などは、いらなくなってしまうのだろう。
技術革新の前に、海にロマンは無くなるのか。
時代錯誤の男の考える、無用な事だと、結論づけたい。

パルスオキシメーター  97・98・98
体温36.4 血糖198

艦隊決戦 代表 湖山泰成

銀座湖山日記

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