ノーチョイス
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レストランで、メニューを選ぶのが、苦手である。
初めての店だと、大抵、「今日の仕入れで1番美味しい食材を、食べさせてくれ。チェフに任せる」
と言って、投げてしまう。
店のサービスのレベルを試す、という意味もあるが。
「デザートは、アイスクリーム、シャーベットのどちらに致しますか」
「コーヒー、紅茶のどちらに致しますか」
その場合は、私は、投げやりに、「両方」
と、答える。
両方食べたいわけではなく、本当に選べないのだ。迷うのだ。
どちらでも良い、と言うわけでもないのだが。
それでいて、人生で、後、何食美味しい食事を食べられるのだろうか、などと考えたら、もう、老人の証拠だ。
パーティーでも、式典の出席者を選ぶのも、座席表を作るのも、難儀する。
立食式にして、皆さん、全てを招待してくれ。
お土産も、はちみつ、焼酎、両方を。
パンフレットは、ある物全て。
私の原稿を選ぶのも、写真を選ぶのも、しんどい。
私は、毎年、花と母親をテーマにした、児童の絵画コンテストの審査員をしている。
これは、本当にしんどい。
どれも、可愛くて、選びようがない。
2歳の天才の絵と、12歳の秀才の絵を比べる事に、元々無理がある。
それでも、光栄で、楽しいので、毎年、喜んで務めさせて頂いている。
賞品も、多少寄付しているのだが、今年は、300人の参加者全員の作品の画集を作る事を提案した。
費用はかかるが、このコンテスト15周年を記念して、寄付させて欲しいと。
どの親子に取っても、人生の良き思い出になると思う。
私の似顔絵を頼んでみたいのだが、どんな作品となるだろうか。
絵だけではなく、児童のフォトコンテストの企画も思いついた。
なんせ、小生は、高校時代は、写真部の部長で、卒業アルバムの制作委員だった。
その時も、校内のスナップショットを選べずに、多数の写真をアルバムに詰め込んだ。
アルバムを開かずとも、その時のショットは、全て思い出せる。
あの時のクラスメートも、今は、私と同じ68歳のお爺ちゃん、お婆ちゃんのはずだ。
思い出だけが、何時も美しい。
パルスオキシメーター 98・98・98
体温36.6 血糖218
人生は、ノーチョイス 代表 湖山 泰成