夏日も雨日も雪の日も
40年かけて、200の施設を建てても、新しい施設を作る事は、常に新鮮だ。
医療、介護の設計は、小学校のように、法律と補助金で広さや要件が決まっており、どれも、基本は変わりはない。
その分、外装、内装、デザインに凝るわけだが予算は決まっているので、そこはセンス補う。
地方で施設づくりを始めた頃は、平屋が多かった。
銀座の。土地のない所から来た、反動だったのだろう。
ロビーの天井の高さや、吹き抜けからの、彩光にこだわった。
美術品を買えないので、壁の内装や、天井の最高に工夫を凝らした。
非常階段は、職員が普段からよく使うので、内装を暖かくしたり、ステンドグラスをはめ込んだり。
厨房や、倉庫の内装を派手にしたり。
とにかく、私としては、設計を通して、施設現場へのメッセージを織り込んだ。
今は、現場職員の意向をなるべく尊重している。
とは言っても、皆、建築デザインの素人。
そのまま、希望を聞くと、頓珍漢になってしまう。
だから、医療福祉に経験のある設計士を頼る。
この世界に経験豊富な設計士は少ない。
結局は、私と一緒に勉強し、苦労し、失敗し、学んでいく。
共に成長して来たと思いたい。
昨日も、建築中の介護施設の外装の色を決めてきた。
毎年の儀式なのだが、これが、難しい。
と言うのも、建物の外壁は、季節の太陽の光によって、見え方や色が違う。
本当に違うのだ。
朝の光、夕方の光。
夏の、秋の、冬の、春の光と、その季節の緑の色合い。
地域の空気によっても、光は違って見える。
東北と山陰の空気と空の色によって、建物の色合いは違う。
都会と、海辺でも、コンクリートやタイルの反射は違う。
その違いは、人の顔色と同じかもしれない。
見る人の気持ちによって、違って見えるのだ。
だから、私は、正直言って、自信がなく、設計士や地元準備室の職員に聞く。
それでも、私の責任において決定しなければならない。
これが、出来上がってみると、予想と全く違うのだ。
これは、陶器、焼き物の製作に似ているかもしれない。
釜から出してみないと、どのような色に焼き上がっているかわからないのだ。
だから、面白いとも言える。
施設建物の設計は、人間の骨格のように、基本設計は決まっている。
でも、出来上がった施設の表情は、皆1つとして同じではない。
人間の顔のように。
一人一人、表情が、感情がある。
苦労して、産んだ親としては、子の顔は皆、個性豊か。
そして、今年も、湖山の子の産声が聞こえる。
準備室のスタッフの顔は、期待と自信の笑顔で輝いでいた。
強く育て、湖山の子ら。
雪の日の起工式も、夏日の工事視察も、人生の思い出だ。
竣工の日を、楽しみに待っている。
パルスオキシメーター 98・99・99
体温36.2 血糖177
棟梁 代表 湖山 泰成