国家避難計画
20年前の新潟県中越地震での経験を下に、私はサンダーバードの設立を提案し、寄付金を出し、サンダーバードの名前を命名した。
今、私自身がサンダーバードの代表として、施設での新たな震災対策と、全国の震災支援ネットワークの充実に日々励んでいる。
この20年、全国のあらゆる地震災害に、自らの施設で体験した。
その再建、支援に、湖山Gは全力を尽くして来た。
でも、その戦いは、終わらない。
更なる試練は、南海トラフと、首都圏大震災だ。
忘れるわけにも、逃げる訳にもいかない。
救済されるべき弱者は、患者、高齢者だけではない。
幼児や障害者も含まれる。
今の湖山Gでは、そこまでの力はない。
だから、改めて、全国有志のネットワークの拡大が必要なのだ。
湖山Gが、何10台のカート、キャンピングカーを配備しても、足りるわけがない。
何10万の非常トイレを備蓄しても、足りるわけではない。
それでも、1人でも1日でも生き延びる為に努力する。
それが、医療福祉の湖山Gの信念だ。
小松左京の小説・日本沈没の最後のシーンは、いまだに覚えている。
沈み去る日本列島を離れて、全国民の海外への避難計画が論議されている。
「皇族の一部の方は、ハワイへ」
そんなセリフがあった。
日本は、アトランティス大陸のように歴史から消え去るのか。
彷徨える民族となるのか。
最後に、鎌倉のご隠居と言われる政治の黒幕が呟く。
「日本は、このまま何もしないでおいた方が良いのかも知れない」
若い私を震え上がらせた、セリフだった。
滅びの美学だ。
今の私は、首都圏大震災に遭遇したら、そのまま死んでいっても、それが運命なのかもしれないと、思いたがっている。
人間、歳をとると、運命を受け入れるようになる。
でも、気を取り直す。
職員には、息子娘のような若い人が多い。
保育園には、孫、曾孫の世代の子供がいる。
その子達の命を、1人でも守るのが、医療福祉の職業人の義務である。
その気持ちが萎えたら、この仕事を続ける資格がない。
それが、経営者としての、私の最後の使命だと自覚している。
黒澤監督の「生きる」と、クリント・イーストウッド監督主演の「グラントリノ」を思い出した。
老人の最後の矜持でもある。
能登地震226日 血糖132
湖山G代表 サンダーバード代表 健康の駅理事
蝉の音を聴く 湖山泰成