戦略なき経営論
昨日は、八王子の大学キャンパスで経済学の講義を行った。
キャンパスに赴いて、身近に学生の顔を見ながら講義をするのは、コロナ以来。
例によって、28歳の時に、倒産した銀座の救急病院を買取り、再建した時の経緯。そして、その後の今に至るまでの湖山Gの歴史の話である。
そして、今年は、40周年を迎える。
青年起業家も、今や前期高齢者。
日々、前だけを見つめて全力疾走してきた人生だが、20歳の学生を見ると、自分の若き日を思い出す。
また、湖山Gの創世記の頃も蘇る。
作家は、処女作に全てがあると言われる。
私の経営者としての、原点は、銀座の病院の再建にある。
あの時の若き日の初めての苦難が、その後の私の全てを作ってきた。
そして、それを乗り切って来たのは、職員の三分の一が辞めても、残って病院を支えてくれた、当時の部下のおかげであるのも、明らかだ。
しかも、全てが、私よりも年長であった。
なんと、生意気な若造経営者だったろうか。
そして、今思が、なんと、思いやりのある年配の部下であったか。
そんな私に、大学で教える程の戦略などあるはずがない。
戦略があれば、銀座で救急病院など、民間個人で成り立つはずもなく、買い取って再建など始めるはずがない。
院長になる父との親子の義理。
一家破産と離散などできない家庭事情。
若者であった自分の見栄と野心。
辛い事だ。若き日の己の未熟さ故の失敗を認める事は。
しかし、大学の講義はそれを許してくれるだけの寛容さがある。
次世代を育て、応援する使命があるからだ。
過去の、部下への恩義と借りは、これから、次世代の若者に経験を託す事で許して欲しい。
老いた者の、生き甲斐は、若き者が作ってくれるのだ。
ライバルよりも、遠い先を見通した戦略。
より優れた経営論。
そんな都合の良い知恵など、現実社会にはあるはずがない。
詰将棋みたいな、知恵や経験を超えた、現実社会を生きる現場の経営者を見せるのが、講義の目的なのだろう。
若者だった頃の、泰成君に、今の私の講義を聴かせたら、どう思うだろうか。
自分は貴方とは違うと、笑うのではないかと思う。
何せ、自信満々の生意気な若者だったのだから。
講義の依頼は、湖山Gの未来戦略だった。
それは、次回に譲る事にしたい。
老人は、話が長くなるのは、勘弁して頂きたい。
パルスオキシメーター 97・98・98
体温36.4 血糖260
志は高く、血糖は低く 代表 湖山泰成