ゴールデンウィークを終えて
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泰成君は小学生である。
ゴールデンウィークの日曜日は、家族でのドライブ。
パパが運転手。
ママは助手席で、地図を開いている。
まだ、ナビなどはなかった時代だ。
後部座席では、子供が、渋滞に疲れて、寝ている。
助手席のママは、剥いたリンゴや、魔法瓶の紅茶を後部座席でグズついている子供に配っている。
ママは、ドライブの時は、おしゃれなスカーフをしている。
虎ノ門病院の勤務医のパパは、週末しか休みを取れないのだ。
日曜日は、決まって、箱根にドライブか、豊島園。
車は、今はなき家族向きセダン、白いフローリアン。
クラウンや、セドリックは、部長にならないと乗れない。
家の駐車場は狭く、フローリアンが、限度だった。
大型連休は、大渋滞に決まっている。
それなのに、決まって、箱根にドライブ。
同じ道を通る。
芦ノ湖スカイライン。
富士スカイラインで、5号目まで登る。
そして、徹夜明けのパパは、車の中でお昼寝。
救急病院の勤務医なのだから、お疲れなのだ。
それでも、家族でドライブをする。
小学生の泰成君は、マンネリ週末に若干ご不満なのだが、いかし方もない。
富士山の青い空。
今でも目に焼きついているし、今はとても懐かしい。
渋滞の中で、家族で歌った歌の歌詞には、みかんの花が咲いている、とあった。
家族は、皆、音痴だった。
でも、その母の歌声も、今も耳にこだまする。
人間の記憶は、すごいものだ。
人間も歳をとると、子供の時の記憶がよみがえる。
浮かび上がってくる。
昔は、ゴールデンウィーク、大型連休。
そして、今は、自宅でのシルバーウィーク。
私の思い出の中の泰成君は、その時の両親と共に、永遠に歳を取らない。
コナン君の逆だな。
パルスオキシメーター 96・98・98
体温36.2 血糖174
いすゞの白いフローリアン 代表 湖山 泰成