戦場のカメラマン

泰成君は、中学の頃は、国際ジャーナリストになりたかった。

当時は、ベトナム戦争や、水俣病の問題があり、私は、中学生でありながら、その市民運動に参加していた。

ベトナム戦争反対運動のデモにも参加した。

東大の環境汚染のゼミにも、聴講に行った。

その頃読んでいたのは、大森実、小田実、開高健。

つまり、ベトナム戦争従軍記である。

そして、世のヒーローは、従軍カメラマンだった。

スペイン戦争で、崩れる兵士の瞬間を捉えた写真はご存知だろう。

ロバート・キャパは、その写真一枚で、世界に戦場を見せた。

戦争の実相を、世界に知らしめ、忘れられなくした。

私は、高校の時には、写真部の部長も務め、校内では、いつもカメラを携帯していた。

父から、借りた、古いライカだ。

卒業アルバムの制作もした。

私は、3・11の時、ヘリコプター3台で、気仙沼に飛んだ。

眼科に、福島の原発の煙を見た。

でも、その時の一枚の写真以外、現地での撮影はできなかった。

怖かったのだ。

カメラを、被災地、被災者に向けることが。

私の瞳も、魂も、心も、痛々しい状況に、カメラを向けるに耐えられなかったのだ。

戦場のカメラマンは、皆、アルコール中毒になって、生涯苦しんだ。

兵士の眼でも、神の眼でもない。

正義の心を持った、優しい瞳では、戦場に耐えられない。

私が、カメラを持てなくなったのは、現実を見つめ続ける勇気がなかったからだ。

今も、シャッターを切る事はない。

カメラを持ち歩く事はない。

カメラが重く感じるのだ。

最近、心に留めた映画がある。

実在の、女性の戦場カメラマン。

私も、知らなかった。

好きな女優が主演しているので、勇気を持って観に行った。

私は、何故、カメラを捨てたのだろう。

今でも、考え続けているが、答えは見つからない。

血糖169  昨夜は、久しぶりの銀座レカン。デザートのチョコが忘れられない。

湖山G代表 サンダーバード会長 健康の駅副会長 日本棋院評議員 湖山泰成

銀座湖山日記

Posted by shimada