医療監修
軽井沢のラジオ放送局の依頼で、対談番組に出演した。
お相手は、映画の医療監修を務めた、大学の救急センター理事長である。
実際には、若い医師や看護師が大勢関わったと思うが、研究所理事長である本人が、熱い情熱を持って指導したのが、良くわかった。
医療の映画、テレビ番組を見るのは、医師には苦痛である。
裁判ものは、弁護士は見ないと思う。
現実との乖離に、耐えられないのだ。
どの職業についても、同様だと思う。
でも、その職業の大変さ、素晴らしさを社会に理解してもらえるのに、映画、小説は大事だと思う。
ブラックジャックや、私は失敗しないのよと言い切る、神の手を持った天才外科医の話も、面白いのだろうが、私は、それを観て、感想を聞かれても、唸ってしまう。
刑事は、刑事ものドラマを楽しめるだろうか。
それでも、医療ドラマを観て救急医療の医師を志す若者は多い。
でも、研修中に、外科ではない方向へ行ってしまうそうだ。
それは仕方のないことだ。
映画は、感動的なヒーローを主人公にしなければならないが、非現実的な嘘は描かないで欲しい。
医療技術も、病気も、あくまでも現実に収めるべきだ。
今回の映画も観たが、私も唸った。
主人公の医師は、メスを持つ指先まで見せている。
術後の縫合も、糸を正しく結んでいる。
役者さんは、大変だったと思う。
今の役者は、ここまでやるのかと、感心した。
尊敬する。
医療教育映画としても、参考に学生に見せても良いのではないか。
それと、執刀医の指示が完璧。
カンペを読んでいるのではない。
そして、その指示による看護師の動きも素晴らしい。
手術は、チームプレー。
執刀医と、麻酔医師、看護師との連携が完璧でなければ、緊急手術はできない。
サッカーや、野球の投手と捕手とのようなコンビネーションが求められる。
実は、経験のある看護師が、若い執刀医をリードするような場合もあると思う。
とにかく、医師だけではなく、看護師の連携が素晴らしい。
看護師の立ち位置と、メスを渡すタイミングも自然だった。
国宝もそうだが、役者が渾身を込めて医療を学んでいる。
この映画で救急医療を目指す若者は増えるだろう。
泰成君は、子供の頃、アメリカのテレビ映画で、「ベン・ケーシー」を観た。
多くの若者が、外科医に憧れたと思う。
最近は、直美などと言われ、楽で収入の多い分野に若手医師が流れてしまう。
職業は、収入も大事。
でも、命を救う仕事は、それだけではないはずだ。
医師不足解消は、働き方改革だけではない。 血糖144 良き患者になるべく努力中 湖山泰成
