泰成君の読書法

泰成君は、小学校3年生。
都心の区立小学校に遠距離通学をしている。
地下鉄や、バスで1時間以上かかる。
その間、読書に没頭する。
毎日、図書室から、1冊借りて、翌日には、返す。
毎日1冊は読むわけだ。
寝床の中でも、親に隠れて本を読む。
日曜日のドライブでも、本を持ち込んだ。
親に怒られて、すぐに、禁止になった。
クラスには、生徒の名前が並んだ表があり、本を読了すると、親指くらいの紙を1枚ずつ貼る。
厚い本は、赤い紙、薄い絵本は、黄色い紙。
毎月、クラスで、冊数を競う。
私は、その頃は、一度本を読み出すと、読了するまで、本を手放さなかった。
トイレでも、寝床でも食事中でも、本を手放さない。
シリーズ物は、続けて全て読む。
その作家の作品は、続けて全て読む。
すると、読むのが早くなる。
理解も楽になる。
量が、質を高め、スピードを早くする。
6年かけて、学校の蔵書は、全て読んだと思う。
泰成君は、それ以来、幾つになっても、図書館に通うようになる。
図書館の本の配置そのものが、頭の中の地図になる。
泰成君は、その時以来、学んだ事がある。
量が質を高める。
職員数、施設数の事ではないが。
今は、どうか。
つまらないと思う本は、途中でも放り出す。
昔とは、気力体力が違う。
人生の時間は、限られていると自覚するようになった。
今は、読書より、映画を観るより、湖山の仲間との、家族のような時間を最優先している。
この日記を書く時間は、人生の書評を書いているような気持ちでいる。
勿論、湖山泰成の伝記だ。
まあ、泰成君の夏休み絵日記みたいなレベルだけれども。

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Posted by kobayashi